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昔話6「ねずみのもぢつぎ」

  • 執筆者の写真: 晴夫 沼澤
    晴夫 沼澤
  • 3 日前
  • 読了時間: 2分

 「羽後の昔話」は、第六話になりました。


 とても有名な昔話「ねずみのもちつき」は、たくさんのバージョンがあります。

 様々な設定の違いはともかく、一般的な物語だと冒頭部はこんなふうに記されていました。


 ある日じさまが山へ行って木を切っていると、ねずみ穴からねずみが一匹出てきました。ねずみは「ああ、いい天気だ。お金をほすのにちょうどいい。おいみんな、金ほそう、金ほそう」といって穴の中へ戻っていきました。やがて、たくさんのねずみが、しっぽに小判を一枚ずつ乗せて、次から次に、穴から出てきました。そしてむしろをひろげ、その上に、小判を一枚一枚丁寧に並べて、日にほしはじめました。



 これが「羽後町の昔話」だと、こんな語り口になるのです。


 じさま山さ行って、トッケーン トッケーンど木切てえだば、ねずみ穴がら、ねずみぁちょろちょろど出はって来て、

「あら、今日なあ、よいお天気だなあ、金(かね)干すにええな。金干そう、金干そう」って、金をなんす、食わえで来て、そして莚(むしろ)っこみでえたなも食わえで来てよ、

 何匹もかがって それさ金干したな。


 略されている表現や微妙な違いはあるにしろ。様子は一緒ですね。物語はこう続きます。


 そうしてたところが、夕立だが一天かき曇って、今にも雨ぁ降ってくるようになったなよ。

「あら、雨降ってくるどごだ。大変だ」って、ほらねずみだもんだがら、あのしっぽさひとつずつなのしたたって ながなが はがえがねんすべた。

 それでじさま、その莚っこまじら、ねずみ穴さ そろそろそろどいれでけだな。


 と続き、ここから「恩返し」の筋が始まり、それを見た隣の爺婆が・・・・というお定まりの展開が語られます。



 この話の面白さの一つは、ねずみが風呂に入るときや餅つきのときのかけ声にあります。

 ここでは、このように表されています。


 ズブリクグッテ ウキアガッテ しっぽフッテ ズンズンズン


 デダバダコーン デダバダコーン 百になっても 二百になっても 猫の声 聞ぎでぐね


 実際の語りでは、どんな調子で口に出されるのか。それを味わってみたいものですね。


 さて、正直者と欲張り者の対比は、この筋が典型になっていますね。

 今の世の中でも単純に通用するとは言い難い面もあるでしょうが、伝えられてきた意味は深いと思います。

 最後は、こんなふうに締めくくられます。


 やだらに人のまねをしてよ、欲たげるもんでねえもんだって、聞がせられだもんだ。


 
 
 

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