「羽後の子ども」第38集より
- 晴夫 沼澤
- 4 分前
- 読了時間: 2分
「羽後の子ども」第38集(2007年度)より小学生の詩2編を紹介します。
この年は、04年度末閉校した飯沢小、03年度末閉校した上到米小の施設を利用して沢の子わか杉、田代福祉センターが動き始めました。
夏には初の「子どもふるさと体験交流会」が実施されました。
9月には秋田国体が行われ、本町は少年男女のホッケー競技会場となりました。
その年度町広報のPDF版はここからご覧になれます。
わり算
明治小4年
先生が プリントに丸をつける
丸 丸 丸
いいぞ いいぞ
あと少しで終わりだ
丸よ続けと思ったら
ばつだった
ガーン またやり直しか
たてる かける 引く
だめだ引けない
たてる かける 引く
まだだめだ
消しゴム使い放題
つくえの上は
消しかすたまり放題
ああ なんでわり算なんてあるのかなあ
算数きらいになっちゃいそうだよ
頭がへとへとになるくらい考えて
ようやく解けたぞ
さあ 今度はどうかな
先生のペンが ちょっと止まって
一気にぐるっと丸を付けた
やったあ 終わったあ
◆わり算は「壁」のようなものだ。すいすい登っていると思ったら、失敗してしまう。失敗がくりかえされる。だからこそ苦労して壁を乗り越えたときは本当にうれしい。喜びがあふれている。

十一月の雲
西馬音内小6年
朝、バスの中で
ふと窓の外を見る。
雲が、向こうの方まで続いている。
中は灰色、外は黄金色。
よく見ると、
雲と雲の間に
小さな小さな青い色
まるで絵のようだ。
その、絵のような雲を見ていると
似たような雲を見た記憶がよみがえる。
それは去年の帰り道、
母校からの帰りだった、
なつかしい
私の母校、明通小。
その、絵のような雲を
わたしは
卒業した先ぱいと見ていた。
「きれいだね。」
「ほんとだね。」
そんなさりげない会話でも、
いっしょに
美しい雲を見ることができた、
それだけで嬉しかった。
今の雲も
記憶の中の雲も
なんてきれいに輝いているのだろう。
いつかわたしも
そんな雲を
後はいと見上げるときが来るのだろうか。
(略)
◆空と雲がつくりだす造形は、ときに人の心に色濃く残される。その時の音や空気やにおいまでもいっしょに付いていることがある。あの日とこの日がつながる一瞬。そんな時間を人は欲している。
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