昔話5「おしょうさんのまくら」
- 晴夫 沼澤
- 1 日前
- 読了時間: 2分
第五話目のこのお話は「羽後の昔話」の中でも傑作だなと、個人的に思っています。
素話は出来ませんでしたが、数年前ある学校の読み聞かせで語ったことがありました。
わずか2ページ分の短い話ですが、様子が浮かんでくる面白さがあります。

こんなふうな出だしです。
ある山寺におっさん居で、昼寝する時だど、水枕みでえだな 毎昼間使うもんだすけど、
「その枕 何えだどご おっさん」
「この中さ、涼しい風入ってえるな、そして寝れば、涼しい風がフーフーフーフーフーって、そしてよ、気持よぐ昼寝するごどでぎる」っていうなだすおの。
そして、こんだある時、おっさんの居ね時、その小僧たちよ、おっさんのあんたに気持良えどでいうもの、なったもんだべな。おらもやってみでえ。知らねふりして、それまず借れでやってみる。
したば、本当に涼しいしゃ、子守歌でもうたってもらうような、ええ匂いこしてよ、そして風がそよそよどきて、
「こんだおれだ」「お前ばりしたってできね」
「おれもこんだ あんべみねばでぎね」そうしてらばあんまり使ってしまって・・・・
と、狂言にも取り上げられる「附子(ぶす)」を思わせる展開になってゆくわけです。
面白いのは、ポイントになるモノが「枕」であること。
小僧たちが、空っぽになってしまった枕に入れるのはある「気体」であり、ここが一番の面白さにつながっていくわけです。
そして、いつものパターンで「おっさん負げでしまったど」と落ち着くわけです。
よく語られる「毒がめ」などで、甘い砂糖やお菓子などが登場するよりも、ユーモラスで痛快な気がします。
ぜひ、実際に読んでみてください。
Comments