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「羽後の子ども」第41集より

  • 執筆者の写真: 晴夫 沼澤
    晴夫 沼澤
  • 15 時間前
  • 読了時間: 2分

「羽後の子ども」第41集(2010年度)より小学生、中学生それぞれ1篇ずつ紹介します。

 

 2010年はバスの仙道線が廃止になったり、明通幼稚園が閉じたり、人口減少による影響が顕著になってきた年でした。

 この年の秋には、美里音ができました。


 そして、年を越して3月年度末近くになって、震災に見舞われた年度です。

  その年度町広報のPDF版はここからご覧になれます。

 

 

 

   牛とぼく

          田代小6年

 

戸を開けた瞬間

一斉につぶらな瞳がぼくを見つめる

ぼくを覚えていてくれたんだね

その瞬間

うれしさがこみあげる

 

ぼくの家では牛を飼っている

毎日のエサやりがぼくの仕事

 

「モーモー」

エサがほしくて鳴いているのに

不思議と ありがとうに聞こえてくる

その時の顔がたまらない

感謝の気持ちを精一杯表現している

ぼくは友だちに話すように

エサをあげるのだ

「早く大きくなれよ」

「この雪の寒さに負けるな」

時おり聞こえる鳴き声が

「大丈夫」

そう聞こえるから おもしろい

 

(略)

 

成長すれば

いずれは我が家から離れていく

わかってはいる

わかってはいるが

どこかせつない

たくさんの愛情を注いだからこそ

複雑な心境になってしまう

 

今日もまた ぼくの仕事がやってきた

牛舎を出るとき

「また来るから」

「待っていてね」

友達に話しかけるように

いつもの言葉を投げかける

「モーモー」

ひときわ元気な鳴き声が

今日も牛舎にこだました

  

◆牛舎のなかの吐く息の白さ、牛たちの表情ある鳴き声が、目に浮かび聞こえてくるようだ。過ごした時間の濃さが心の通じ合いになる。いずれ別れがある現実を知っているから。

 

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  一日の始まり

         羽後中2年

 

「起きれ」

朝に聞く母の第一声

 

「早く起きなければ」

心で思うが体が動かない

 

ちょっとだけ時間をもどしたい

そう思っても時間は進む

 

なぜ僕の朝は

気持ちよくないのだろう

なぜ朝は来るのだろう

いつまでこんな朝が

続くのだろう

 

朝に必ず思う

こんな自分はいつまで続くのだろう

今の自分を懐かしく思う自分は

どのくらい先にいるだろう

未来の自分に聞きたい

 

  

◆繰り返される朝の日常。不機嫌さのループ。そこから脱したい自分も、未来を想う自分も、そして「未来の自分」も、その朝から続く路の上にしかいない。一日が始まる。

 
 
 

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