昔話11「へっぴり嫁こ」
- 晴夫 沼澤
- 2 日前
- 読了時間: 3分
「羽後の昔話」は、第11話です。
題名から知っている人は多いと思いますが、これも全国各地に伝わっている有名な話で
「屁ひり女房」「屁っぴり嫁ご」「へっこきよめさん」と、いろいろと名づけられていますが、話の大筋は似ています。
ただ、細かい設定や登場人物には違いがあります。
我が町の噺では…さっそく、出だしを引用して紹介します。
ある所に嫁をもらわねばならね若者えであったんすごでゃ。
そして、あっこの娘えの、こっちのあねこえのっていだうじ、ええあんべえに結ばつてよ、もらうごどにしたんすごでゃな。
しだども「おれの家の娘ずおの、おが屁たれるもんで、それでもええごったば、働ぐ事なばたいした働ぐええ娘だども それひとつの難だおで、困ってしまって、どごさもけでやれね」って、親にかって言われだなだけっど。
「屁ぐれえ、たれだって何ともねえど。屁もたれねえでえるよんたもの、ガスたまって 体悪ぐするえんて、なっても ねえがら、どうえが けでけれ」ってもらったんすべた。
お姑さんもたいした働ぐ、ええお姑さんでよ、めんどうみでな。
「あね、あね」って、めんどうみで 働いでいるうち、その嫁よなだんだんに 顔いろ悪ぐなってきたずおの。
「あやーっお前よ、どごが悪ぐなってきたど」って聞いであったんすごでゃ。そのお姑さんな。
「本当しゃあ、おれよ。屁たまってよ、それでしゃ、やだらにたれられねがどて、まずがまんしてえだば、こういうもんだ」
「何、そった屁、がまんしてえる。そういう馬鹿えねんだ。屁なの ガスたまって、体悪くしたら 何にもならねがら、なんぼ大きい屁でも、続けでもええがら、屁なの がまんしてえるもんでね。おらなの若い時なば じ様どご 飛ばすだけ えっぺえやったおだ」
お姑さんが言ったけど。
「んだべげゃ、んだらあのうーーーーーー」

こうして屁を許された嫁が一発かますと、梯子につかまっていたお姑が飛ばされて…と続き、最後は「困り事の解決」「殿様にほめられる」というような出来事で、ハッピーエンドになります。
他県の話では 「船」が出てきたり、「金の生る木」が出てきたりしています。しかし、どの話も、その「特技?」を生かした嫁も周囲も幸せになるという結末です。
普通であれば、蔑まれ習癖や行為であっても見方を変えれば…という発想も導けそうです。
さて、幸せになった「嫁」は、家の者から「屁をするための場所」を家の中から与えられたという筋で終わる話も複数ありました。
思わずエエーと思ったのは茨城の「屁っぴり嫁」にある次の結びです。
家には「部屋」ってものがあるでしょう。あの部屋っていうのはお嫁さんが「屁をするところ」なので、「へや」と呼ばれるようになったんだそうです。
ちょっと「クサイ」話ですね(笑)
Comments