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  • 執筆者の写真晴夫 沼澤

「羽後町の伝説」を読む(その2)


 第二回目は「和尚さんとガマ」です。

 

 

 舞台になっているのは床舞地区の東光寺。ご承知の方も多いでしょうが、元図書館館長でもあった故田口恭雄先生が住職を務められておられた古刹です。

 


 いつの時代か定かではありませんが、「昔、昔のお話」として伝えていきたいものです。

  あらすじはこうです。

 

 日照りが続き、雨乞いのお祈りをしていた和尚さんが足元を見たら、二匹のがまが苦しそうに息をしながら見上げていた。

 心のやさしい和尚さんは、笠で日陰を作ってやりながら寺に帰り、水が少し残っていた古池に二匹を放してやった。がまはお礼を言うように、何度も水から顔を出し、和尚さんを見ていた。

 夜中にがまのなく声が聞こえた。あくる朝、池にはがまの姿はなく、がまの玉卵が残されていた。喜んで朝のお務めをした和尚さんが「昨日は八十八夜だったな」と独り言を言うと、しばらくして雨が降ってきて、田畑も草も生き生きとなった。

 古池にも水がいっぱいになり、毎年その頃になるとたくさんのがまが集まってきて卵を生んでいくようになった。

 

 

 八十八夜は太陽暦では5月2、3日とされていますが、この辺りの感覚としては陰暦5月(現在は6月中旬から)に近い気がします。

 昔から天候に悩まされ、それを功徳を積むことによって乗り越えようとする庶民の心を感じます。

 

 「ガマ ⇒ ヒキガエル」と辞書には載っています。

 通常「ガマガエル」というと、大型で肥えて四肢が短く太い姿を思い浮かべます。

 普通のかわいい?アマガエルとの違いは明らかですね。ガマは最近はあまりお目にかかれないのですが、生命力は強そうなので古い池には健在の事かと思います。

 

 今もなんとなく生きていそうな気がします。

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