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執筆者の写真晴夫 沼澤

「羽後町の伝説」を読む(その9)

 「伝説紹介」の第9回目は「姥平(うばひら)の話」です。

 

 前回同様、仙道地区がその舞台です。

 

 ダイジェストを次のようにまとめてみました。

 


 昔、ひとり娘を飯沢に嫁にやって、一人暮らしをしているおばあさんがいました。

 会いたくとも冬の間は出かけられない日が続いたので、ようやく春の陽がさしたいい天気の日に、娘や孫に会いに行こうと峠に向かいました。

 孫の土産に冬の間に作った履物やお手玉などを背負って出かけました。

 峠の急な坂道を下ってホッとしていると、下の方から登ってくる人影があり、それは自分の娘だったのです。


 二人は再会を喜び、時の立つのも忘れて冬の間のあれこれを話していました。

 その時、突然ゴーと不気味な山鳴りがして、ヒラ(雪崩)が二人を襲ったのです。

 逃げる間もなく二人は雪崩に飲み込まれたのです。

 いくら久しぶりでもあまりに帰ってこないので、心配した両方の村の人たちは探し始めました。なかなか見つかりませんでしたが、あの日の天気のことを思い出した人がいて、真坂峠に雪崩のあとがあったことを思い出し、ようやく見つけることができました。

 二人は抱き合ったまま冷たくなっていて、周りには孫のために作ったお手玉などが散らばっていました。

 

 

 この雪崩のあった場所を「うばひら」と言ったり「親子平」と呼んだりするようになったそうです。


 峠そのものの響きに哀しさがつきまとうことはよくあります。そして雪の峠道は今とは比べ物にならないほど危険がつきまとったでしょう。


 降雪の時期が迫ってきています。

 交通便利になった現在でも、そうした出来事があった場所であることは時々思い出したい気にさせられます。

 

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