第8回目となりました。
今回は「石鉢の清水」という話です。
(元西地区に伊勢鉢の清水がありますが、これとは違います)
ダイジェストを、次のようにまとめてみました。
昔、仙道の堀内の長者の家へ、旅のお坊さんが水をもらいに立ち寄った。
しかし、身なりの汚い坊さんの姿を見た長者は、鼻をつまんで「おまえにやる水は一滴もない、とっとど出ていけ」と、一口の水も与えなかった。
堀内のあたりで、長者の家だけが水が湧き出ていて、他の家もそれをもらっているのだった。
疲れてしまった坊さんは、しばらく歩くと一軒の貧乏な家でまた戸を叩いた。
その家のおかみさんは「坊さんが飲むくらいならば」と水を飲ませてくれた。
その晩、おかみさんの夢に坊さんが現れ、裏の林に行くようにと言った。朝にそこへ行くと、水がすり鉢状のところからこんこんと湧き出ているのだった。
長者の家の水は一つも出てこなくなり、みんなは、その水を石鉢の水と呼び使うようになった。
一人だけいい思いをすることを戒める昔からの説話のようです。
そして「水」の貴重さを忘れてはいけないということ。まして最近まで水の確保に難儀した地区の多い仙道であれば、そうした思いは強かったのではないでしょうか。
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