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執筆者の写真晴夫 沼澤

「羽後町の伝説」を読む(その5

  五回目となる今回は、飯沢地区の岩台の道ばたにある、直径約1メートル30センチほどの卵形の石のことです。その名は「婆(ば)っこ石」

 


 ダイジェストはこうです。

 

 昔、婆様と孫が夜中にこの石のそばを通ったら、石が「ぼっ、ぼっ」と火を吐いていた。危ないからと消そうとしたがいくらやっても消えない。

 翌日、村の若衆たちにその話をしたら、数人が夜中に見に行ったら本当だったので、びっくりして帰ってきた。

 昼間はただの石なのに気味が悪くなって、次の日、がけの下に転がしてやった。

 しかし、その夜にどうなっているか見に行ったら、がけの下から、「ぼっぼっ」と火を吐き、ドッスンドッスンと上ってくる様子を見て、腰をぬかして逃げ帰った。

 次の日に若衆たちが村人たちと一緒に石のあったところに行ったら、元の場所に据わっていてびっくりし「この石、神様だ!」となった。


 その後、みんなで夜に行けばやはり、「ぼっぼっ」と石が火を吐いていた。数か月後、村に悪い病気が流行ったので、この石にお願いしたら、みんな治ったという。村人たちはこの石を「婆っ子石」(発炬石)と名づけ、悪病退散の神様として祀ったそうである。


 

 石の正体が気にかかります。

 こうした無生物にも思いを抱き、崇め奉ることは人間の特徴でしょうし、その形状や質から何か感覚的なものを受け取る人がいても不思議ではありませんね。

 ふだん動かぬものが秘めている力を信じたいのは、結構多くの人に共通するかもしれません。


 身の回りにも結構大きな石はあると思います。

 かなり昔からそこにあるとわかると、いろいろな想像がはたらくものですね。

 

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