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「羽後町の伝説」を読む(その14)

執筆者の写真: 晴夫 沼澤晴夫 沼澤

 「羽後町の伝説」は、最後に収められている話の紹介となりました。

  前回に続いて三輪地区です。

 

 「あぐりこさま」というお話のダイジェストはこうです。

 

 杉宮の元稲田稲荷神社は「あぐりこさま」と呼ばれている。

 これは昔、あぐりこというキツネの女王がいて、つかえるたくさんのキツネを使って、ネズミの害に苦しむ大勢の百姓を助け、近隣からもお参りをすればキツネたちがやってきて助けてくれるということで大評判になって、信仰を集めたことがもとになっている。


 あるとき、倉内に住んでいた山伏が、元稲田を通りかかるとき、鳥居の前で眠っている一匹のキツネを見つけた。

 ほら貝自慢の山伏はいたずらしようと、ほら貝を耳もとで吹き鳴らした。キツネはあわてて驚いて逃げ、山伏はその様子を笑って見送った。

 しかし、帰り道、またそこを通りかかったとき急に暗闇となり、火のかたまりが近づき、白い老婆から襲われそうになった。あまりの恐ろしさに近くのスモモの木に登ったが、どたりと地上に落ちてしまった。


 目を覚ますとあたりは夕暮れになっていて、腰をぬかし立ち上がることができない山伏は、近くの百姓におぶわれて倉内へと帰った。この話は百姓の口から村々へ広まり、あぐりこのキツネは一層有名になった。


 また、神社を立てる際にキツネの石像を立てようとしたとき、湯沢の石工へりっぱな武士が頼みに来たというが、神社では誰もおぼえがなく、これもあぐりこのしわざだろうと杉宮の人たちは語り合っているという。

 

 

 

 近年、「ゆきとぴあ」花嫁道中のコースともなっている元稲田神社。

 あぐりこさんの話は、昔話としても言い伝えられています。各地のお稲荷さんにはキツネの逸話があるものですが、このお話も地域に密着している、歴史の奥深さを感じさせる、なかなかの筋書だと思います。




 なお、正月に行われた郷土かるた大会でのクイズで、「あぐりこ」の意味は何かという問題を出しました。

 これは、この伝説のなかから引用した内容です。

 

もうあきてしまった」というのが正解になるので、その意味をもとにすると、お参りをすれば様々なご利益があるのではないかと考えられますね。

 

 
 
 

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