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  • 執筆者の写真晴夫 沼澤

「羽後の子ども」第14集より


 昭和58年は、5月にあの日本海中部地震が発生しました。

 町では被災地能代市へ給水車を派遣したと記録にありました。


 県による、ほ場整備事業や広域農道整備事業が進められ6月に終了しました。また、今も民間で建物が活用されている雇用促進住宅羽後宿舎が完成した年でもあります。


 翌年2月に町内の電話番号がニケタの市内局番になり、加入がずいぶんと一般的になりました。3月には青少年育成羽後町民会議が結成され、現在に続いています。

 

  

 家族との日常やスポーツ大会はよく取り上げられるテーマです。

 心動かされる場が多く、受けとめる感性も育っていくはずですね。

 

 

   おかあさん

     西馬音内小田沢分校2年

 

きょうの夜

おかあさんといっしょにねた。

わたしがねると、

ふとんの中にこおりが、

いっぱい入っているかんじがする。

足をちぢめたり、

足のへらと、かたっぽの足のへらを

こすり合わせたりした。

するとおかあさんが、

少しふとんをあげて

そろそろ入って来た。

おかあさんの二つの足の間に

わたしの足を入れると

わたしは、たまごになっているみたいだ。

たまごをあたためてくれている

おかあさんがあたたかい。

ぽかぽかしてきて、もう、

あひるの子になったようだ。

 

 

◆「あたたかさ」は、こんなふうに伝わるのか。自分で何とかしようとがんばっている時、そばにいる人がそおっと入ってきて、ふんわりと包んでくれる。体のあたたかさが足を通じて伝わってきて、身体のぜんぶをめぐる。読む者の心が笑顔になる。

 




 

  ハードル

       三輪中3年

 

パアン

ピストルの音が

澄んだ秋の空気をひきさく

横一線にならんだハードラーたちが

つるをはなれた矢のように飛びだす

 

大地をけった足が

まっすぐに空中に突き出され

時を止めたと思う瞬間

大地に向けて鋭くふりおろされる

 

土くれをけりあげ

つぎつぎに障害をこえていく

風のようなあいつ

観衆の声援は

あいつとともに走っていく

時はあいつの姿に見とれ

私の心はおどる

 

白いテープが

三角形の頂点をつくるとき

大きな歓声が会場をうずめた

 

 

◆人は何のために走り、障害を飛び越すのか。どうしてゴールを設け、競ってそこを目指すのか。ランナー、ハードラーたちはどう答えるだろう。ただ、観客がその姿を目に焼き付け、地を蹴る音を耳にすることで、感じる愉悦。美しさがはっきり見える。

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