top of page
  • すぷりんぐぶろぐ
  • X
  • Facebook
検索

「羽後の子ども」第42集より

  • 執筆者の写真: 晴夫 沼澤
    晴夫 沼澤
  • 3 日前
  • 読了時間: 2分

 「羽後の子ども」第42集(2011年度)より小学生の2作品を紹介します。

 

 なんといっても年度直前の3月11日の東日本大震災のことを、いろいろと引きずった一年だったと思います。余震もありましたし、延期になった行事等も少なくありませんでした。

 町の商工会では50周年でプレミアム商品券なども発行されました。


  その年度町広報のPDF版はここからご覧になれます。


 

 

   おじいちゃん

          羽後明成小3年

 

おじいちゃんがねていた

おじいちゃんのいびきは

クマのようだ

だから、ぼくはねむられない

ねているおじいちゃんに

うるさいといっても

また いびきをかく

 

うるさくて 下に行った

それでも いびきが聞こえてくる

だから ぼくのへやに行った

でも 聞こえてくるんだ

 

ぼくは おじいちゃんの鼻をつまんでみた

おじいちゃんに おこられてしまった

ぼくは がまんして ねようと思った

そのとき 一番大きいいびきが聞こえた

ぼくは ねむれない

  

◆困った顔が見えるようだ。いびきの音が聞こえるようだ。どこまでも追いかけてくるいびきに立ち向かおうとしたが、かんたんに敗れてしまった。それが家族だ。



ree

 

  急げ!

       西馬音内小6年

 

(略)

六時四十五分。

六時四十五分!

やばい!

こんなに寝てしまった。

がっと、ふとんから出る。

早く着替えろ。

気持ちとは逆に手が引っかかる。

足が出ない。

階段のと中からジャンプ。

すぐにご飯。

白いご飯とみそ汁たけでいい。

味なんか分からない。

とりあえず、飲み込む。

荷物を背負って、

車に乗り込む。

家から学校まで三分。

母さん、

早くしてくれ。

間に合わないよ。

 

学校が見えてきた。

みんなが見えた。

まだ出発していない。固まっていた体から力が抜け、楽になった。

 

校門で降ろされて

みんなの場所へ向かった。

朝寝ぼうしたなんて

覚えられないようにしなくては。

ゆっくり歩いた。

先生に挨拶する。

「おはようございます。」

「おはよう。」

いつも通りに。

何事もなかったように、

みんなのところへまぎれ込んだ。

 

大型バスの窓の外。

母が手をふる。

弟や妹も手をふる。

二日間の修学旅行の始まり。

 

 

◆「始まり」までの、短いけれどとても長く感じる時間。「詩」とは、そんなところに顔を出す。驚き、あせり、安堵し、知らんぷりをする心は、ほんとに愉快だ。

 
 
 

Comentários


bottom of page