「羽後の子ども」第32集より
- 晴夫 沼澤
- 6月20日
- 読了時間: 2分
「羽後の子ども」第32集(2001年度)より、小学生二人の詩を紹介します。
21世紀が始まった年です。
この年の夏、数年来観光客が増え続けたことで「西馬音内盆踊り緊急観光客対策」が実施されています。
様々な出来事がありました。主なものは、こちらの広報紹介でご覧ください。
てつぼう大すき
明治小1年
ドキドキ、ドキドキ、
手をはなすのは
すごくこわくて
ぎゅっと目をつむる
てつぼうは大すきなのに
見てるとかんたんそうなのに
こうもりになるのは
あしがふるえるくらいこわい。
「おさえているから、だいじようぶ。」
せんせいにつかんでもらうと
ふるえなくなった。
「えいっ。」
ゆうきをだしてはなしてみた。
ふわっとゆれて
からだがブランコになった。
目をあけたらじめんがゆれていた。
なんだ、けつこうかんたんだ。
たのしくなって
なんかいもまわった。
(略)
◆「手をはなす」ときの身体のふるえ、ぐっと固くなる心…それを乗り越えていく醍醐味が器械運動にはある。その一つ一つの挑戦を多くの子が体験してきた。

うでずもう
仙道小4年
「ほれっ、こい。」
ばあちゃんが、いつものように勝負をしかけてきた。
今日は勝てるかな。
ばあちゃんの手は、
ごっついカイジュウの手。
固くて、がっちりした手。
その手を見ただけで負けそうだ。
うでは、ジャンボ肉だんごのかたまりのように、ムキムキだ。
「今日こそ。」
手を組んだ。
おもいっきりうでとこしに力をいれた。
「ググギュ、ググギュ。」
力を入れてもねびくともしない。
ばあちゃんは、ターミネーターだ。
「パンッ。」
やっぱり負けてしまった。
「力っけねえなぁ。」
「もっとままけっ。」
「まま食わねがらおがらねえんだ。」
「まま食わねくたっておがる。」
心の中でばあちゃんに、言ってやった。
ムキムキばあちゃん、ずっと元気で入れよ。
いつかばあちゃんに勝ってやるぞ。
◆もう30代半ばの君はきっと「おがった」だろう。そして、ばあちゃんも年齢なりに年老いた。仮に今勝負したらその行方は決まっているが、こうした時が確かにあったのだ。手と手、腕と腕、心と心をぶつけ合った日。
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