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「羽後の子ども」第29集より

  • 執筆者の写真: 晴夫 沼澤
    晴夫 沼澤
  • 3 分前
  • 読了時間: 3分

 平成10年(1998)度は、第29集を発刊しました。

 

 この年6月は、町内の農協(JA)が再編成、統合されて、JAうごとJAこまちの二つが出来上がった年でした。農業の大きな変わり目となりました。そしてまた今…。


 町内の話題は、昨日アップした「平成10年を紐解く」でどうぞ。

 

 

 

  かがみの中のぼく

 

            上到米小4年

 

あれ、

右目がふといぞ

ミサイルがふっ飛んでいるみたいな形だ。

左目は、ほそいなあ。

鳥がもうスピードで飛んでいるみたいな形だ。

今まで気づかなかったぁ。

あれ、

まゆ毛の色もこい。

なんだかまゆげも右と左がちがうぞ。

右まゆげが、ドラゴンみたいで

左まゆげは、ヘビみたいだぞ。

かみの毛はどうかな。

寒くてかみの毛をのばしているから

前がみが目に入っていたいんだ。

そろそろとこやに行こうかな。

お、もしかして、

クラスでぼくが一番耳たぶ大きいのかな。

小さいサンドバックみたいだ。

だけど、

これがぼくの顔。

世界で一つの顔。

 

                

◆初めて、自分の顔が「世界で一つの顔」だということに気づいた時間だ。かがみの中のぼくは、ぼくであることに違いはないのだが、もう一人のぼくは本当によく見つめている。

 




   時間

 

            羽後中3年

 

もうすぐで僕はここを「母校」というようになるだろう

それでもまだ大人になっていない

「まだ僕も子供なんだ」

「子供」という言葉に僕は不快感をもっていた

 

体は成長しても、心に穴が空いていた

埋めようとしても埋まらなかった

早くこの心を埋めてほしかったから

がむしゃらに走り続けていた

 

みんなと話せるように努力した

取り残されるのがどんなものか知りたかったから

「友達」というのがどんなものか知りたかったから

みんなについて行くことにした

 

夢を実現するのは簡単だと思っていた

だからいつでも大きい壁にぶつかっていた

後から大きな壁を見上げてしまうと

不安と後悔が重なり合ってしまって

最後に壁から離れていった

自分の弱さがここに現れてしまった

自分を小さく見るようになった

小さな壁に向かうことが多くなった

 

出会いと別れと旅立ちを、学校で覚えた

それは、春に訪れ、春に終わる

そして今・・・

みんなもここを母校と呼び旅立つ

形の無い扉をたたき始める

行き着く所はみんな違うけど

夢をもつのは同じだ

早く自分の夢をもって

みんなと一緒に扉に立ちたい

そして母校を背にしてここから次の道へ

歩き始める

 

 

◆これは「未完」の詩だ。なぜなら「時間」は今も流れ、この後もずっと続いていくものだから…。中学卒業を間近に控えた時期、ふと立ち止まって自分を見つめた時があったことに、今の君はどんな思いを抱くか。そして目の前に、まだ扉は続いている。

 
 
 

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