《60》フム&…
- 晴夫 沼澤
- 6月16日
- 読了時間: 2分
ごく普通の動作や名前などが、ごく普通に使われる一般的な語で別の意味として使われることが方言にはある。
オラホのコトバでは、典型となる一つに【ナゲル】(捨てるの意味)があり、よくクイズなどでも目にする。
そんな語は、意識して探さないと見つからない。ところが何かの拍子にふっと、声になったり思い浮かんだりすることもある。
TVでサッカー観戦して夢中になったとき、この語を思い出すことがあれば、それはオラホの人である。
【フム】…「蹴る」の意味で使われる。一般的に足で押さえつける動作を指す「踏む」と同様な漢字が充てられる。
【フマゲル】という語は「踏み上げる」から来ており、「蹴とばす」の意味で、実際によく耳にする。
「あの男なば、ほんとにヤラシグニャなあ。今度なえが言ってきたら、知らにゃふりして、後ろがらフマゲデけろがあ」
(あの男は、本当に憎たらしいなあ。今度何か文句をつけてきたら、知らんぷりして、後方から蹴とばしてやろうか)
【ヤラシグニャ】…「嫌らしい」「憎たらしい」「いけ好かない」といった意味で使われる。

【フム】は、県下全域に分布しているらしく、県外からの移住者がカルチャーショックを受ける語の一つだと、『あきた弁 一語一会』(秋田魁新報)にあった。
そして、この語はひところに比べて、だいぶ使わなくなっていることも書かれてあった。
子どもの頃、空き地や学校のグラウンドで、ボール遊びや缶蹴りをする時、よく「フメーーーッ」という叫びが聞かれたことを思い出す。
郷愁的な風景は、そこにあった力強さなどを象徴していたのかもしれない。
その意味では「フマゲル」は、ちょっぴり残存率(笑)が高いと予想する。そこには、やや怒りの感情も込められていて、そんな気持ちを表現できる方言としてふさわしいのか。
「シタオノ、フマゲデヤレ!!」
(そんなもの、蹴とばしてやれ)
と口に出してみると、何だか元気が出そうな気分になる。



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