「羽後の子ども」第27集より
- 晴夫 沼澤
- 4 分前
- 読了時間: 2分
「羽後の子ども」第27集は、平成8年度(1996年度)に刊行されました。
この年度の主な出来事は、町広報の紹介を見てください。
他には、10月に五輪坂で温泉掘削がスタートし、翌年の4月に町初となる温泉が湧出しました。
小学生と中学生1篇ずつ紹介します。

かた手そく転
明治小3年
右手は体にくっつける
左手は力を入れてひじをのばす
息は すーといっぱいすって
口をぴっちり「ん」の字にしめる
足でゆかを思いきりけって
ジャンプ
顔はいつもマットを見て
頭の中で、天じょうやゆかが
ぐるんとひと回り
着地は ぴったり決まった
やった、できたぞ
かた手そく転
ぼくのスペシャルひっさつわざだ
◆一つ一つ習った通りに動作を積み重ねていく。それにそって心も徐々に力を増していく。自分の体と心がぴったりと重なり、マットの上についた足が喜びの音を立てた。
母の手
高瀬中1年
母の手
何故だか分からないけど
とてもあったかい
いつも台所に立ってご飯を作る
母の手
店に出てお酒を売っている
母の手
ミシンの音をたてて働く
母の手
小さい頃髪を結ってくれた
母の手
いつもの手があれていて
ガサガサだった
でも そのガサガサだった母の手が
私は大好きだった
水仕事をして冷たくなったあの手が
とてもあたたかかった
母の手
◆冷たい手を温かく感じる、荒れていてガサガサの手を愛おしく思う…人間にしか湧きあがってこないその感情。そこに至るまでの日々に、意味を見いだすからだ。姿だけでなく心でとらえる力が伸びることを、「成長」と名付けよう。
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