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執筆者の写真晴夫 沼澤

「羽後の子ども」第21集より

 第21集の発刊は「1990年度」ということになります。

 

 90年代の始まりの年、町内では6月に西馬音内の火災で5棟が全半焼するという痛ましい出来事がありました。

 夏には待望の羽後中学校50メートルプールが完成します。

 七曲峠が建設省の「ふるさとの坂道三十選」に選ばれ、「手づくり郷土賞」を受賞しました。

  また、五輪坂アルカディア公園の整備に着手したのもこの年です。


 動物と自然をテーマにした「藤原審爾賞」が制定され、その後コンクールなども催されました。

 


 今日は小学生の詩作品二つを紹介します。


 

 青空

 

      三輪小2年

 


晴れた日、外にでた。

とてもきれいな空だった。

そこにばあちゃんがきた。

ばあちゃんも

「とってもきれいな空だなぁ」

といった。

はあちゃんに

「なんで太ようは、あんなに小さいんだ。」

ときいた。

ばあちゃんが、言った。

「太ようは、ちがくで見るど

とっても大きいんだど。」

と言った。

それから

「空は、なんで青いんだ。」

ときいた。

ばあちゃんが、言った。

「それは、空さきげ。」

と言った。

空は、

みんなの心の中を

さわやかにしてくれるんだ。

おひるまでずっと見ていた。

家の中に入ったとき、

家の中が青かった。

 

            

◆「さわやか」な詩だ。それはその日の空がそうであったように、祖母と孫の気持ちのいいやりとりが見えて、心の中に風が吹き抜けるような気分になるからだ。ずっと見上げていたい空、ずっと見つめていたい家族の姿がそこにある。

 

 

 


 転校生が来るぞ

 

     西馬音内小3年

 

「大ニュースです。」

先生が言った。

なんだろう。

「転校生が来るのです。」

つづけて言った。

どんな子かな。

おれよりでっかいべか。

でっかかったら、ちっとまずいぞ。

おれより頭いいべか。

よかったら、ちっとまずいぞ。

おれより足速いべか。

持きゅう走でまけたら、はずかしいぞ。

おれより強いべか。

強かったら、ちっとまずいぞ。

もりおかから来るんだって。

男の子だった。

どんな子かな。

友だちになれるべか。

心ぱいだな。

あした来る。

 

 

◆まるでエイリアンを想像するような心の動きがそこにある。顔も名前も知らない転校生が、自分にとってどんな存在になるのか。出会いの瞬間まで気持ちが少しずつ、そして加速度を増して高まっていく。そして、その時を迎える。

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