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執筆者の写真晴夫 沼澤

「羽後の子ども」第16集より

  町文集の詩作品紹介も、いよいよ昭和60年代に入ります。

 懐かしさを感じる年代も増えてくるはずです。。ぜひお読みください。

 

 

 昭和60年度は5月に軽井沢山村広場が完成しました。

 7月には「科学万博つくば」へ西馬音内盆踊りが参加しました。


 町にとってはエポックメイキングな出来事があったのもこの年度であり、8月に第一回の「うご牛まつり」が開催され、冬1月に「ゆきとぴあ七曲」が開かれたのでした。



 

 PTAと母さん

 

       西馬音内小3年

 

学校から帰ると母さんが

「PTAの時、バガみでんたく手あげるなよ。」

と、言った。

「なして。」

と聞いたら

「まずいがらあまりバガみでんたく手あげねばいんだ。」

と、また言った。

ちょっと意味がわかりません。

ぼくが手をあげるとはずかしいのかな。

それともまちがうと思っているのかな。

いつもは手を上げれ、手を上げれと

言うのに。

むずかしい母さん。

 


◆子どもにはわからない大人の複雑な心境。「むずかしい母さん」は、いろいろ考えている。もちろん、子どものことを思わない親はいない。しかし、時に大人はその気持ちをどこかに置いてしまって、自分の事情に走る。

 


 

 

父さんのたん生日

 

      仙道小5年

 

十二月十二日

父さんのたん生日。

十一月のすえごろに家ぞくのために

さい玉の方にはたらきにでた。

父さんのたん生日。

ふっと

六時ごろに

(たしか今日は、父さんのたん生日だったな。)

と思った。

いっしょに出かせぎにでかけた人たちと

せっせと水道管や、パイプを

運んでいるだろう。

太く、けっかんがうきあがった手で

あせをたらして水道管をはめているだろう。

まっくろな顔

年がら年じゅうひやけしている顔で

ダンプを運転しているかもしれない。

今ごろは、

りょうでみんなと話しながら

お酒でものんでいるだろうか。

ねむる時は、もうふを

あちこちにけとばして

ねるにちがいない。

 

私にいわってもらえない

家の人にもいわってもらえない

十二月十二日

父さんのたん生日。

 


◆誕生日だから、よけいに浮かぶ父の顔。どんな仕事をしているのか家族に聞いたのだろう。その思い浮かぶ様子に重ねて、額に汗して、顔をゆがめながら働く父を想うこと。それは何よりもの「お祝い」かもしれない。しかし、言葉を届けられないもどかしさ。

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