《29》カマス
- 晴夫 沼澤
- 2 日前
- 読了時間: 2分
NHK秋田のニュース番組では、秋田弁が取り上げられるコーナーがよくある。
県内では方言のアクセントや発音が一様でなく、思わずツッコミたくなる語が登場することも多い。
先日「川柳」で取り上げられた「カマス」もそうだ。
アクセントがどうにも気に入らない。
アナウンサーは「カ」を強く、いわゆる「語頭アクセント」で語っていた。それを川柳選者も指摘せず、そのままであった。
オラホでは、「平板アクセント」(もしくは「マ」がやや強め)で使うのが普通だった。
語自体の使用範囲が広いので、なかなか味わい深いコトバである。
【カマス】…「かき混ぜる」「かき回す」の意味。『秋田のことば』(無明舎)では【カッチャマス】が見出し語となっている。
当然、食べ物や手仕事などの動作に関わって使われるが、こうした使用例も日常的だった。

「明日のバンゲ、お祭りの相談するのも、あの男さは聞かしぇにゃでけれ。あれ来えば、いっつもカマサレデ、まどまらなくなるがらな。」
(明日の夜に、お祭りの相談をするけど、あの男には知らせないでくれ。あいつが来るといつも話を混ぜっ返されて、まとまらなくなるからね。)
「納豆、カマシテけれ」
「その粉を速くカマセバ、よく出来上がるはずだ」
などと、まだ十分な日常用語と言えるだろう。
反面、上に挙げた「人間関係」における、カマス存在はあまりいなくなっているか。
それは、みんな物分かりがよくなっているからか。
波風立てない風潮が強まっているからか。
「予定調和」に飽き飽きしている人もいるのではないだろうか。
ここらで「カマスヒト」そろそろ、出現してもよくないか。
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