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《28》ギャリ(ゲァリ)

  • 執筆者の写真: 晴夫 沼澤
    晴夫 沼澤
  • 7月14日
  • 読了時間: 2分

 平成の市町村合併の直前に、東由利町に勤めることになってその時にいただいた郷土教育資料「東由利の方言」を時々眺めている。

 距離的には近いが郡境となっていて、微妙な違いを楽しめる。

 

 最近目に留まったページが「東由利の方言での回数の言い方」

 ここでは「回」を「ゲリ」と記載している。

 ああ、と懐かしく思い出した。オラホではこういう発音だった。

 

【ギャリ(ゲァリ)】…「回数、度」などを表すときに、数詞のあとにつける。




「オメなば、登山好ぎだっていうのも、鳥海山さ、ナンボ登ったごどあるけな」

 (貴方は登山が好きだっていうけど、鳥海山へは何回登ったことがあるのかな)

「俺があ、ヒトギャリしかにゃ。ンダノモ、俺のおやじなば、ミイギャリグレァ登ったびょうの」

 (俺かあ。一回しかないよ。けれど、俺の父親は三回ぐらい登ったのではないか)



「東由利の方言での回数の言い方」をみると、「1回…ヒトゲリ」「2回…フタゲリ」から始まって、なんと「20回…ニジュウゲリ」まで記されている。

 私の感覚では、周囲の年寄りの使い方でも一桁がせいぜいだったと思うが、どうだろう。

 

『秋田のことば』(無明舎)には、見出し語としては載っておらず、「ひとげぁり」として「一度、一遍」がある。複数に対応する語ではないのが一般的か。


 ただ、「秋田の方言(秋田弁)・勉強・学習サイト」というホームページには、数量詞の部分に次の記載がある。

 ③回数:一回→「しゅとげぁり」 二回→「しゅたげぁり」。 三回以降は標準語を秋田方言に訛らせた「さんくゎい」「よんくゎい」「ごぐゎい」を用いる。

 

 この表現だと、秋田弁としてはもともと「ゲァリ」が回数として用いられていたのか。

 ただ、語源が何かと考えを巡らしたとき、「ギャリ」から「ギリ→きり(切り、限)」も想像できるし、それだと単数で使うのがそもそもではないかという予想も成り立つわけで…

 
 
 

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